どこでもいいから貸して欲しい

「どこでもいい」は「どこも無理」

『どこでもいいと、どこも貸してくれない』 私は資金調達の相談にきた経営者に、こちらからこう尋ねることがあります。

 

 「年利15%で3000万円貸してくれるところを知っているのですが、どうしますか?」

 

 「ウチでも貸してもらえるならば是非利用したいのですが……」

 

 金利の話が耳に人らず、このように即答する人はかなり切羽詰っていて、頭には資金繰りしかない状態です。これでは最後には保証人でガチガチに縛られて、高金利のローンをつかまされて破綻するのは目に見えています。
 もう一度冷静に考えなければいけません、3000万円の借り入れをすることによって取れる仕事は15%の金利を払ったあとでも儲けがでるのかどうか。つまり営業利益15%以上を稼ぎ出せる仕事なのかどうか。
 そして、もしそれだけ儲かる商売だとしても、このような状態の場合、3000万円は本当に商売に使われるのかどうか。実際は消費税、源泉所得税、社会保険料は滞納、仕入先には支払を待ってもらってる、あるいは手形をジャンプしてもらった、ということになっていて、3000万円を調達してもそのほとんどが、過去の整理資金に当てられてしまうのではないでしょうか?そうであった場合、この融資は利益を生むことはありません。

 

 この本の趣旨とは違いますが、このような状態であれば、どの金融機関と取引をするかという段階ではありません。会社をたたむことも視野にいれ、企業再生の専門家を交えて対策を考えなければなりません。

 

融資を焦っては逆効果

 業況が悪いわけではない、むしろ売上が増加して運転資金が追いつかないということであれば、金融機関としても融資しやすいわけですが、そのような場合でも、あまりにも急な申し込みをしてよいことはひとつもありません。

 

 切羽詰った申し込みとなってしまうのは、資金繰り表をしっかり作っていないからです。資金繰り表は銀行に言われてイヤイヤ作るものではなく、会社を守るために作るものです。どんな会社でも支払と回収、手形の期日落ち、期日入金の予定を整理しているはずです。しかしそれは支払や入金が確定しているものについてだけ行なっていることが多いようです。それは過去の売上に基づく結果をまとめているだけなので、今後の売上や仕入の変化に対応できません。ですから資金繰り表をつくる場合は、少なくても半年先までの売上を予測し、それに見合う仕入、経費、そして借入金の返済額などを織り込んで、先をある程度見通せるようにしておかないと、儲かっているのに急に資金繰りに詰まることになりかねません。

 

回答の催促はほどほどに

 資金繰り予定表を作っていなかったがために「いつまでに融資できるか」「いつまでに回答をくれるか」という調子で融資の申し込みに行けば、銀行も怪しみます。売上増加で運転資金が足りないといっているが、本当は売掛金がどこかで焦げ付いているのではないか、と思われかねません。
 すると追加の書類を用意するのにさらに時間がかかったり、本来であれば、長期のよい条件で融資を引き出せたかもしれないのに、銀行側は少し様子を見たいという気になってしまい、短期の返済条件付にされたりする可能性もあります。結局のところ、それでは融資を受けてもすぐに資金繰りが忙しくなってしまいます。また銀行も商売ですから、そうとなれば金利も高く設定してくるでしょう。

 

 そして間接的な影響として、特に零細企業では経営者が資金繰りに走れば走るほど、売上は落ちる可能性が高いということです。だれも資金調達のために仕事をしてるわけではありません。その資金を商売に活かして利益を得ることが目的です。資金繰り表を作るのには労力がかかりますが、ギリギリで神経をすり減らし資金繰りに奔走する労力の何十分の1で済みます。最初に少ない労力を惜しまないことによって、時間的にも融資の条件面でも得をするはずです。