売掛金を担保に資金調達

支払に使える手形が減り、支払いに使えない売掛金が増加する

 すでに触れたとおりバブル期に比べて手形の流通量は10分の1程度にまで減っています。手形の流通量の減少は中小企業の資金繰りに大きな影響を与えています。たとえば手形で代金を回収しておけば割り引きに出したり、裏吉譲渡(回し手形)で仕入の支払をしたりすることにより、現金が流出してしまうのを抑えることができました。
 手形が減って現金回収が増えればよいのですが、実際にはすぐ現金で回収できることはほとんどなく、回収までの数か月間は売掛金として溜まってしまうことになります。さらに、手形で代金を回収したとしても、最近は振り出し先が相当優良な企業でないと金融機関も割り引くのを嫌がるようになってきているので、ますます資金繰りは厳しくなる一方です。
 そんな中で注目を集めつつあるのが売掛金、つまり売掛債権を担保にした融資です。

 

なかなか進まない保証協会の売掛債権担保保証制度

 売掛債権を担保とした融資については、政府も対策を打ってきました。保証協会では売掛債権を担保とする融資制度を平成13年12月よりはじめています。次のいずれかの手続きが必要です。

 

 (1)通知(売掛金を担保にしたことを、売掛先に通知する)
 (2)承諾(売掛金を担保にしたことについて、売掛先から承諾書をもらう)
 (3)登記(債権譲渡を商業登記簿に登記する)

 

 この手続きをクリアするのが難しいこと、取引先(売掛先)との信用の問題になりかねないこと、金融機関の受け入れ態勢も整っていないことなどの条件が重なり、今のところあまり利用件数は伸びていません。
 この制度の場合、金融機関は保証協会から90%の保証しか受けられず、10%部分のリスクが残り、完全に売掛先の信用力だけでは判断できないことや、売掛債権は数か月ごとにその内容が変化していくので、担保としての管理が煩雑だということも、金融機関が二の足を踏む要因となっています。

 

中小企業の売掛債権を動かすことに注目が集まる

 中小企業の売掛債権は100兆円を超えると見られています。国内銀行の中小・中堅企業向けの融資残高は5年前に比べて約90兆円強も減っているので、その分金利収人も減ってしまいます。そこで100兆円以上もある中小企業の売掛債権を担保に、リスクを減らして何とか融資を増やせないかと注目され始めているわけです。
 ある銀行では300万円程度の小口債権でも買い取り、証券化して売却し、銀行のリスクを軽くしつつ売掛債権を早期に資金化できる商品を作って、積極的に売り出そうとしています。従来は売掛債権額が5000万円や1億円と多額で、対象が特定の大企業向けの債権であったりしたのですが、最近は小口化される傾向にあります。
 ただ、小口の売掛債権を買い取ったり、それを担保に融資をしたりするところでも、非常に金利の高いところがあります。今の事業が15%や20%もの高金利を取られてまで成り立つ事業なのか、そのところをよく考えて金融機関を選別しなければいけません。