格付けアップに向けた改善

「流動化」と「安定化」を軸に展開

 格付けやビジネスローンなどの自動審査システムで重要視されるのは、決算書のなかのバランスシート(貸借対照表)と損益計算書です。その2期あるいは3期分の数値に基づいて、財務指標を算出して点数をつけるわけです。どの指標を使うか、どの指標に重きをおくかは金融機関によって違いますが、一般的にバランスシートにおいては「資産の流動化」と「資金調達の安定化」を進めると評価が高くなります。

 

 バランスシートというのは、決算期末の一時点の、資金調達の状況(右側・貸方)と、その資金がどんな資産になっているか(左側・借方)を表しています。右側と左側の金額が一致して両方のバランスをとれることからバランスシートと呼ばれています。

 

 「資産の流動化」とは、不動産や機械設備などの固定資産を少なくし、現預金や正常な売掛金や受取手形などの現金に近いもの(流動資産)を多い状態にすることです。そして「資金調達の安定化」とは、支払手形や買掛金あるいは短期借入金のようにすぐに支払義務(返済義務)の発生する調達方法よりも、6−4「資金調達B 少人数私募債と増資の検討」で解説した社債や資本金のように、長期間返済義務のない安定した資金調達を多くすることです。

 

損益計算書は営業利益重視

 損益計算書は、1年間活動した中でどれだけの利益(または損失)が出たかを表しています。その中で格付けに大きな影響を及ぼすのは「営業利益」です。
 営業利益は売上から原価を引いた粗利益(売上総利益)から、人件費などの販売管理費をさし引いたものです。つまり本業で儲かっているかどうかを表す重要な利益です。これがマイナスで何期も続くようだと、資本金や過去の利益の蓄積を食いつぶして生き延びていることになります。そのような状態で借り入れを申し込んでも、正常な運転資金ではなく赤字の埋め合わせと見なされるため、融資はおりませんし格付けも低くならざるを得ません。

 

格付け対策は中長期的に進める

 格付けは過去の決算によって決まります。3月決算の会社であれば5月末に決算書が出来上がり、そこから1か月から2か月の間に新しい格付けに更新されます。ということは、例えば12月に借り入れを申し込んだとしても格付けの判断基準となっているのは9か月前の3月であり、申し込み時期によってはかなりのタイムラグがあるわけです。したがって「融資を申し込みたい」という時期になってから格付けがどうのと言ってみても遅すぎるわけです。金融機関の態度に変化を感じたら、すぐに格付け対策に乗り出さないと、大事な時に融資が受けられなくなる可能性があります。