中小企業 融資

「保証協会」の審査が厳しくなることは必至

 中小零細企業のほとんどは保証協会付きの融資に頼っています。しかしその保証協会の台所事情は火の車です。返済できなくなって協会が肩代わり(代位弁済)をした比率(代位弁済率)はすべての保証協会付き融資の約4%にものぼっています。平成10年に始まった安定化特別保証に限れば、100万社に29兆円の保証を行い、そのうちの約6%である1兆7000億円が代位弁済となっています。保証協会の収人は融資額の1%程度の保証料しかありませんから採算が合うはずがなく、最終的には国の負担が増えるということになります。そのような事情を反映して、平成15年度より保証料が引き上げられました。

 

 従来は融資額の100%を保証協会が銀行に保証していました。銀行にリスクはありませんから、銀行には保証協会の保証が下りれば融資するという安易な姿勢がありました。その保証率を80%程度に引き下げるという話が浮上しています。欧米にも保証協会と同様の制度がありますが、100%保証の国はほとんどなく、国際的な流れから見ても保証率の引き下げは必然です。

 

 すると銀行は20%のリスクを負うことになるので、今までのように保証協会の保証さえ下りればOKという簡単なものではなくなる可能性が非常に大きい
のです。

 

審査に耐えうる決算書にするかが重要

 大手銀行はこぞって「ビジネスローン」のような自動審査ですぐに融資の可否を決定できるような、中小零細企業向けの商品を投入してきました。その特
徴は、ほとんど銀行の担当者などの私情がはさまる余地はなく、決算書の数字だけですべてが決まるといっても過言ではないことにあります。

 

 したがって決算書の内容をいかによくするかに気を使っている企業と、そうでないところとでは雲泥の差が出てきます。かたや今まで取引のない銀行まで
が押しかけて「借りてください」といわれるの対して、かたやメインバンクからも見捨てられてどこの金融機関も相手にしてくれないということになります。

 

 東京都が中小零細企業の無担保融資に特化した新銀行設立の構想を発表しました。これは融資の申し込みを一件一件管理するのではなく、まとめて管理する「ポートフォリオ方式」にする可能性が高いとしています。ポートフォリオ方式はビジネスローンと同じく倒産確率などに基づいた自動審査方式といってもよいでしょう。都の構想としては、技術力や成長力も加味した審査マニュアルにしようとしていますが、技術力を自動審査するのは非常に難しく、結局ビジネスローンと同じようにかなりの部分を決算書の内容に頼ることとなるはずです。

 

 自動審査の本格的な到来を受けて、中小零細企業はますます決算書に注意を払わなければならなくなってくるのです。

 

ビジネスローンの新しい施策に注目

 ビジネスローンしかり、新銀行しかり、中小零細企業の融資を取り巻く環境は激しく変化しています。アンテナを張り巡らせ、少しでも有利な条件で資金調達ができるようにしておかないと、企業の存亡に関わることになってきます。

 

 政府では平成16年中にも「新信用保証制度」を創設します。今までの保証協会の制度とは別の仕組みで、ノンバンクや商社の行なう融資にも保証を付けるというものです。焦げ付きが発生した時のカバー率は50%と低く(現行の保証協会はほとんどが100%)、保証料も2%〜3%と高めで焦げ付きが多くなるほど、保証料も高くなっていく可能性があります。これからは貸す側も相当のリスクを負い、借りる側もそれに見合う費用負担(保証料や利息)をするというのが普通のこととなってきます。

 

 また法務省では、在庫や設備などの動産を担保に中小企業が融資を受けるための環境整備に取り組みはじめました。今までは動産を二重に担保提供することも可能だったため問題がありました。これを解決するためには公示制度の確立が必要となり時間を要すると思いますが、成功すれば、中小企業の新たな資金調達の道がひとつ増えることになります。